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遺産を相続した場合に相続税がかかってきます。
一般には相続税は高いというイメージがあり、
税率自体もかなり高くなっています。
しかし、相続税を納めなければならない人は、
遺産を相続した方の5%程度ですので、
納めている人は少ないのも事実です。
さらに、基礎控除や、配偶者に対する税額軽減措置、
小規模宅地等の評価減の特例など、
さまざまな軽減策がとられています。
(1)基礎控除
遺産相続の合計額が『基礎控除』の金額内であれば、
相続税は非課税となり税金を納める必要はありません。
【基礎控除の金額】
5,000万円+(1,000万円×法定相続人の人数)
例えば、法定相続人が配偶者と、子ども2人場合は、
5,000万円+(1,000万円×法定相続人が3人)=8,000万円
ですので、遺産相続の合計額が8,000円以下であれば非課税になります。
この法定相続人の人数には、
相続放棄した人も含みますので、
上記の例で、子どもの1人が相続放棄していたとしても、
『基礎控除』額は同じです。
また養子についても法定相続人になりますが、
『基礎控除』に算入できる人数には下記のような制限があります。
(幼い子を家庭裁判所の手続によって養子とする、
特別養子の場合は、実子の扱いになります。)
・実子がいる場合 → 算入できる養子の数は、1人まで
・実子がいない場合 → 算入できる養子の数は、2人まで
上記の人数は、相続税の『基礎控除』に用いる養子の人数ですので、
実際の遺産相続では養子が何人いても法定相続人になれます。
(2)配偶者に対する税額軽減措置
配偶者が相続した遺産のうち、
法定相続分または、1億6,000万円のいずれか大きい額までは、
相続税はかからない『税額軽減措置』があります。
この『配偶者に対する税額軽減措置』は、
原則として、亡くなった日から10か月以内に遺産分割協議を完了させて、
相続税の申告と納付をしなければならないので注意して下さい。
(3)小規模宅地等の評価減の特例
亡くなった人が住んでいた家の宅地や、事業用に使用していた店、
事務所、工場などの生活に必要な宅地に関しては、
処分しにくく、相続税を払うために処分するのでは、
残された相続人の生活ができなくなってしまいますので、
これらの点を考慮して、1983年に設けられた特別処置であり、
一般に『小規模宅地等の評価減の特例』などと呼ばれています。
評価減の対象となるのは、亡くなった人や、生計を共にしていた親族が、
自宅や事業用に使用していた宅地で、借地権も対象になり、
宅地では240u、事業用では400uまでの部分について、
最大で80%減にすることができます。
ただし、宅地や事業用に使用している建物が、
建っている必要がありますので、地面がむき出しの青空駐車場などは
対象になりませんので、適用を受けるためには、アスファルトを敷き詰める、
塀をつくる、立体駐車場にするなどの工夫をする必要があります。
また、不動産業を営んでいる人の販売用の宅地などは、
棚卸資産となりますので、対象にはなりませんので、ご注意を。
この『小規模宅地等の評価減の特例』は、
申告をすることが前提となっていますので、
この特例の適用を受けたことにより、評価額が減少し、
遺産相続が『基礎控除』以下となり、
相続税がかからないケースでも必ず申告期限である
亡くなった日から10か月以内に、申告書を提出しなければなりません。
ですので、申告期限までに、
遺産分割協議を完了させていることが必要になります。
もし、申告期限までに遺産分割協議が完了しない場合は、
申告期限から3年以内に分割されれば、特例の適用を受けることができます。
この場合は、特例の適用を受けなかったものとして、
申告・相続税の納付をしておき、後日、遺産分割協議が完了してから
4か月以内に更正の請求を行い、相続税の過払いがあれば還付を
受けるという手続を行います。
なお、これらの特例が適用されるか、されないかで、
相続税額は大きく影響を受けますから、特殊なケースなどについては、
適用の可否について事前に税務署に確認することをお勧めします。
@ 特定住居用宅地:240uまで80%減
亡くなった人や、生計を共にしていた親族の住居用宅地で、
配偶者、同居していた親族などが取得した場合。
A 特定事業用宅地:400uまで80%減
亡くなった人が、事業用に使用していた店、事務所、工場などに
使用していた宅地で、その事業の承継者が取得した場合。
B 特定同族会社事業用宅地:400uまで80%減
亡くなった人や生計を共にする親族が所有する株式や出資が、
50%以上である同族会社の事業に使用されていた宅地で、
役員である親族が取得した場合。
C そのほかの宅地:200uまで50%減
そのほか、個人でアパート、借家、貸駐車場などを経営している場合の
不動産の貸付用宅地の場合には、誰が所得してもよい。
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(4)相続時精算課税制度
次の世代への遺産の移転をよりスムーズにするために、
相続税と贈与税と一本化した制度で、平成15年1月1日以降の
贈与や遺産相続などから、この制度を選択できるようになりました。
ただし、この『相続時精算課税制度』を利用して贈与する遺産については、
『小規模宅地等の評価減の特例』を受けることができませんので、
将来、『小規模宅地等の評価減の特例』が活用できる遺産については、
『相続時精算課税制度』による贈与は慎重に検討する必要がありますので、
注意して下さい。
この『相続時精算課税制度』とは、
生前に贈与を受けた額の合計額が、2500万円までは控除され、
贈与の時点では課税されず、
その後の『相続時』に、精算課税の対象となった贈与した遺産と
相続した遺産を合計した額に基づいて、相続税の額を『精算』して、
『課税』される制度です。
適用が受けられるのは、
65歳以上の親と20歳以上の子(代襲相続を含む)の
組み合わせに限られます。
2500万円までであれば、どのような使い道の現金でも、
遺産でも可能ですし、一度に2500万円でも、
何回かに分けて贈与しても構いません。
なお、非課税枠の2500万円を超えた場合には、
どのような少額の贈与であっても、一律20%の贈与税がかかってきます。
この制度がどのようなときに効果があるかというと、
遺産相続が基礎控除(5000万円+1000円×法定相続人の数)以内で
ある場合には、生きている間に贈与をしても非課税となり、
早いうちに遺産を移転することができます。
そのほか、障害者の子への贈与、子の借金の解消、
相続トラブルが起こりそうな場合に、生きている間に自分の意志で
相続ができるなどがあります。
通常の『暦年贈与課税制度』では、
1年につき110万円の贈与であれば、非課税になりますが、
『暦年贈与課税制度』を選択するか、
『相続時精算課税制度』を選択するかは、
最初の贈与を受けた年の申告(翌年の2月1日〜3月15日まで)の時に、
税務署に届出書を提出することになっています。
なお、『相続時精算課税制度』を選択した場合には、
その親と子の組み合わせでは、
通常の『暦年贈与課税制度』を利用できなくなりますので、注意して下さい。
(5)その他の税額控除
相続税が安くなるその他の税額控除がありますので簡単にご紹介します。
@ 贈与税額控除
相続が開始される3年前に贈与した遺産は、
相続税の課税遺産に加算することになっています。
しかし、贈与を受けた時点で贈与税が加算されているこれらの遺産を、
相続時には相続された遺産に加算して相続税額を算出すると、
贈与税と相続税の2つの税金がかかってしまいますので、
相続時に納付する相続税額からすでに納めた贈与税額が控除されます。
A 未成年者控除
法定相続人が未成年者で、相続や遺贈で遺産を取得した場合に、
20歳に達するまでの年数(1年未満は切り上げ)について、
1年につき6万円の控除ができます。
B 障害者控除
法定相続人が障害者で、相続や遺贈で遺産を取得した場合に、
70歳に達するまでの年数(1年未満は切り上げ)について、
1年につき6万円の控除ができます。
(特別障害者の場合は、1年につき12万円)
C 数次相続控除
10年以内に2回以上の相続があった場合には、
前の相続に時に課税された相続税額のうち、
一定金額(1年につき10%の割合で逓減)を後の相続税額から
控除できます。
これは、短期間に相続が発生した場合に、
相続人の税負担を緩和する目的の税額控除制度です。
D 外国税額控除
海外にある遺産を日本いる人が相続した場合、
海外と日本の両方で課税されることがあります。
このような二重課税を軽減する目的で、
海外で日本の相続税に相当する税が課税された場合には、
海外での課税額を日本の相続税額から一定額控除することができます。

→ 続きを読む(12.相続税対策)
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