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憲法改正草案解説(6)・内閣/司法 (5月21日)
第5章 内閣
第65条の内閣と行政権において、行政権の所属を「この憲法に特別の定めのある場合を除き」、内閣に属するものと規定しました。最高裁判所の司法行政権、内閣から独立した会計検査院、地方自治などの内閣の行政権の例外を意識して規定したものです。
第66条の内閣の構成及び国会に対する責任において、第2項で国務大臣の文民資格を分かりやすく「現役の軍人であってはならない」と規定しました。国防軍を設置することとしたことから、「文民」という文言の意味が曖昧になったので、書き換えたものです。現行法制では、自衛官が現役のまま国務大臣になることは、できません。元自衛官が文民に当たり、国務大臣になれることは、憲法慣例ができています。予備役の軍人について質問がありましたが、「現役」と規定している以上、招集されない間は、この規定の適用がないものと考えます。
第70条の内閣総理大臣が欠けたとき等の内閣の総辞職等において、第2項を新設し、「内閣総理大臣が欠けたとき、その他これに準ずる場合として法律で定めるときは、内閣総理大臣があらかじめ指定した国務大臣が、臨時に、その職務を行う。」と、規定しました。従来内閣総理大臣に不慮の事故が起きたときの憲法規定が未整備であったため、安全保障上の問題があり、明文の規定を置いてその臨時代行者を置くことができることとしたものです。例えば内閣総理大臣が死亡したときは、内閣総辞職を閣議で決定すべきですが、その閣議の主宰者に誰がなるのか、内閣法には規定があるものの、憲法上明確ではなかったのです。
「内閣総理大臣が欠けたとき」とは、一般に死亡したときをいいますが、国会議員の資格を失ったときもあり得ます。「その他これに準ずる場合として法律で定めるとき」とは、意識が不明になったときや事故で行方不明になったときなど現職に復帰することがあり得る場合を想定しています。臨時代行者の事前の指定に際しては、複数の国務大臣を順位を付けて指定することも可能と考えています。
第72条の内閣総理大臣の職務において、内閣総理大臣の権限を強化するため、次のように規定しました。
(内閣総理大臣の職務)
第72条 内閣総理大臣は、行政各部を指揮監督し、その総合調整を行う。
2 内閣総理大臣は、内閣を代表して、議案を国会に提出し、並びに一般国務及び外交関係について国会に報告する。
3 内閣総理大臣は、最高指揮官として、国防軍を統括する。
第1項で、行政各部の指揮監督権及び総合調整権を規定しました。内閣法では第6条で「内閣総理大臣は、閣議にかけて決定した方針に基いて、行政各部を指揮監督する。」と、第7条で「主任の大臣の間における権限についての疑義は、内閣総理大臣が、閣議にかけて、これを裁定する。」と、第8条で「内閣総理大臣は、行政各部の処分又は命令を中止せしめ、内閣の処置を待つことができる。」と規定し、内閣総理大臣は全て閣議にかけた方針の基づかなければ行政各部を指揮監督できないことになっています。これでは、内閣総理大臣の権限は、十分ではありません。そこで、内閣総理大臣は、閣議にかけなくても各国務大臣等を指揮監督等ができるものと規定したところです。この場合でも、閣議で決定した明示の方針があるときは、内閣総理大臣もそれに従うのが当然であり、個別の法律で閣議の決定を経るべきことを定めることを排除するものではありません。
第3項で、「内閣総理大臣は、最高指揮官として、国防軍を統括する。」と規定しました。内閣総理大臣が国防軍の最高指揮官であることは第9条の2第1項にも規定しましたが、内閣総理大臣の職務としてこの条でも再整理したものです。内閣総理大臣は最高指揮官ですから、国防軍を動かす最終的な軍令の決定権は、防衛大臣ではなく、内閣総理大臣にあります。また、法律に特別の規定がない場合は、閣議にかけないで、内閣総理大臣は国防軍を指揮できます。ここで「国防軍を統括する」とは、内閣総理大臣は、単に軍令上の最高決定権者にとどまらず、国防軍という組織全体を管理する権限を有することを示したものです。そのことを具体的にどう法制上整理するかは、立法政策に委ねられます。
第73条の内閣の職務において、第6号に規定する政令委任の規定について、現行憲法では「政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。」と規定されていますが、今回、内閣法第11条の規定を参考にして、「政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、義務を課し、又は権利を制限する規定を設けることができない。」と書き換えました。「罰則」は、この規定の趣旨に包含されるという解釈により、規定からは削除しました。
ちなみに、首相公選制については、今回、党内議論の中で意見が出てきませんでした。仮に国会議員の中から内閣総理大臣を国民が選挙する首相公選制を憲法に規定するとしたら、整合性のある規定を作るのには、相当の検討を要することになります。
第6章 司法
司法制度については、大きな変更はしていません。第4章国会、第5章内閣と来れば、第6章は「裁判所」となるはずなのですが、どういうわけかこの章だけ「司法」という章立てになっています。このことを直そうとも考えましたが、やめておきました。
第79条の最高裁判所の裁判官において、現行憲法の同条第2項から第4項までに規定する国民審査が形骸化しているとの批判が強いことから、その具体的な審査の方法については法律で定めることとし、同条第2項に「最高裁判所の裁判官は、その任命後、法律の定めるところにより、国民の審査を受けなければならない。」と規定しました。裁判官の国民審査を国民に分かりやすいものにするのはなかなか難しいのですが、こう規定することにより、立法政策上工夫の余地が出てきます。
また、現行憲法同条第6項後段で裁判官の報酬は在任中減額できないこととされており、最近のようにデフレ状態が続いて公務員の給与の引下げを行う場合に解釈上の困難が生じていることや懲戒の場合であっても報酬が減額ができないことなどに対応するため、同条第5項後段に「この報酬は、在任中、分限又は懲戒による場合及び一般の公務員の例による場合を除き、減額できない。」と規定し、解決を図りました。
司法制度についての改革が少ないのではないかとの意見もありましょうが、司法制度は憲法に規定されている部分が特に少ない分野であり、多くは法律の規定に委ねられていることを御理解ください。なお、憲法裁判所の設置については、党内議論の中で若干の積極的な意見がありましたが、仮に設置するにしても、制度的にかなり煮詰めなければならない事柄が多く、今回は見送りました。
※本稿は、筆者の私見に基づくものであり、自由民主党の公式見解ではないことをお断りしておきます。
※「憲法改正草案」は、こちらを御覧ください。
憲法改正草案解説(5)・国会 (5月17日)
第4章 国会
今回の憲法改正草案の策定に当たっては、統治機構については、大きな見直しはしませんでした。そのことについて、批判があるのも事実です。しかし、今回は、サンフランシスコ平和条約発効60周年を機に、平成17年に策定された「新憲法草案」を土台としてその見直しを行い、自主憲法に値する憲法草案を策定することを主たる目的としたものです。統治機構の大きな見直しには、それぞれ個別の項目ごとに慎重な議論が必要であり、今回の憲法全体の見直しの中でそれを行うのは、困難と考えたところです。
具体的には、一院制、首相公選制、道州制の導入などの課題が指摘されています。このうち道州制については、党の道州制推進本部において、原則憲法改正を行わないでその検討を進めることとしています。道州制は、地方自治の範囲で、導入できると考えています。一方、一院制や首相公選制の導入については、当然憲法改正が必要ですが、その具体化には、更に詳細設計が必要であり、かつ、党内での合意形成の手続がなお必要であると考えたところです。
特に一院制の導入については、党内議論の中で、前向きの意見がかなりたくさん出されたことから、今後二院制の在り方を検討する中で、一院制についても検討することとしました。
第44条の議員及び選挙人の資格において、その差別の禁止項目の対象として、第14条の法の下の平等の規定に合わせて「障害の有無」の文言を加えました。
第47条の選挙に関する事項において、後段を設け、「この場合においては、各選挙区は、人口を基本とし、行政区画、地勢等を総合的に勘案して定めなければならない。」と、規定しました。最近、一票の格差について最高裁判所の違憲判決が続いていることに鑑み、選挙区は、単に人口のみによって決められるものではないことを、明示したものです。ただし、この規定も飽くまで「人口を基本と」することとし、一票の格差の是正をする必要がないとしたものではありません。選挙区を置けば必ず格差は生ずるので、それには一定の許容範囲があることを念のため規定したのに過ぎません。なお、この規定は、衆議院議員選挙区画定審議会設置法第3条第1項の規定を参考にして加えたものであり、現行法制を踏まえてのものであることを、申し添えておきます。
第52条の通常国会において、第1項で、「常会」というのを最近の例により「通常国会」と改め、また、国会の召集は、天皇が国事行為として行うものであることに鑑み、全て「召集される」と受動態で規定することとしました。また、第2項で、通常国会の会期は、「法律で定める」ものと規定しました。会期の延長については、特に規定を置きませんでしたが、これも法律委任の中に含まれるものと解しています。
第53条の臨時国会において、「臨時会」というのを最近の例により「臨時国会」と改め、これまで臨時国会の召集期限については規定がなかったので、「要求があった日から20日以内に臨時国会が召集されなければならない。」と、規定しました。議員の4分の1の賛成で臨時国会の召集は要求できるので、党内議論の中で、「少数会派の乱用が心配ではないか。」との意見もありましたが、「臨時国会の召集要求権を少数者の権利として定めた以上、きちんと召集されるのは当然である。」という意見が、大勢でした。
第54条の衆議院の解散と衆議院議員の総選挙、特別国会及び参議院の緊急集会において、第1項で、「衆議院の解散は、内閣総理大臣が決定する。」と、規定しました。かつて、解散を決定する閣議において閣僚の反対が予測される場合に、あらかじめ閣僚を罷免するというという事例があったので、解散の決定は、閣議にかけず、内閣総理大臣が単独で決定できることとしたものです。なお、この規定で「七条解散(憲法改正草案では、条の移動により「六条解散」になります。)、すなわち内閣不信任案が可決された場合以外の解散について明示すべきだ。」という意見もありましたが、「それは憲法慣例に委ねるべきだ。」という意見が大勢であり、この規定に落ち着きました。
第2項で、単に「国会」とあるのを「特別国会」と改めました。
第56条の表決及び定足数において、現行憲法では第1項に「両議院は、各々その総議員の3分の1以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない。」とあり、欠席者が多く出た場合に本会議が開会できないので、この定足数を議決だけの要件とするため、「両議院の議決は、各々その総議員の3分の1以上の出席がなければすることができない。」と規定し、同項を第2項としたところです。
第59条の法律案の議決及び衆議院の優越においては、最終的に何も変更しませんでしたが、党内議論の中で、第2項に規定する参議院で否決された法律案を衆議院で再議決する場合の要件について、「3分の2以上の賛成から引き下げて、ねじれ現象ができるだけ起きないようにすべきではないか。」という意見がありました。それを「過半数とする。」という意見もありましたが、それでは「参議院の存在を否定するものだ。」という意見が大勢でした。中を取って10分の6とする意見もありましたが、法令上議決権の規定で10分の6というのも前例がなく、この部分の変更はしないこととしました。
第63条の内閣総理大臣等の議院出席の権利及び義務において、第2項を設け、「内閣総理大臣及びその他の国務大臣は、答弁又は説明のため議院から出席を求められたときは、出席しなければならない。ただし、職務の遂行上特に必要がある場合は、この限りでない。」と、規定しました。ただし書の規定は、平成17年の憲法草案では「職務の遂行上やむを得ない事情がある場合」と規定していましたが、今回はこのように規定し、更に緩和を図ったところです。言うまでもなく、特に外務大臣などは重要な外交日程があることが多く、国会に拘束されることにより、国益を損することにならないようにするという配慮からの規定です。「職務の遂行上特に必要がある場合」の方が大臣側の主体的な判断が可能なニュアンスとなっています。
第64条の2の政党においては、平成17年の憲法草案において、既に同様の規定がありました。
(政党)
第64条の2 国は、政党が議会制民主主義に不可欠の存在であることに鑑み、その活動の公正の確保及びその健全な発展に努めなければならない。
2 政党の政治活動の自由は、保障する。
3 前2項に定めるもののほか、政党に関する事項は、法律で定める。
政党については、現行憲法に全く規定がなく、政党法も存在せず、法的根拠がないので、政治団体の一つとして整理されてきました。こうした規定を置くことにより、政党助成や政党法制定の根拠になるものと考えます。政党法の制定に当たっては、政党内民主主義の確立、収支の公開などが焦点になるものと考えられます。
※本稿は、筆者の私見に基づくものであり、自由民主党の公式見解ではないことをお断りしておきます。
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憲法改正草案解説(4)・国民の権利及び義務 (5月14日)
第3章 国民の権利及び義務
第11条の基本的人権の享有は、次のように書き換えることとしました。
(基本的人権の享有)
第11条 国民は、全ての基本的人権を享有する。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利である。
「基本的人権の享有は妨げられない」「現在及び将来の国民に与えらる」というような大上段な翻訳口調の規定は、改めました。
第12条の国民の責務の規定も、分かりやすく書き直しました。
(国民の責務)
第12条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力により、保持されなければならない。国民は、これを濫用してはならず、自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない。
ここで、従来の「公共の福祉」については、全て「公益及び公の秩序」と言い換えることに、平成17年の憲法草案のときに整理されています。「公共の福祉」という言葉はやや概念が曖昧であり、普通の言葉に換えれば「公共の利益」のことであって、一言で言えば「公益」のことです。それに加えて、権利の行使が社会秩序を乱すものであってはならないので、「公の秩序」という文言を添えたものです。「公の秩序」というと、すぐ「反国家的な行動を取り締まる考えか。」と聞かれますが、「公の秩序」とは「社会秩序」のことであり、平穏な社会生活のことを意味しています。他人に迷惑を掛けない行為であれば、規制の対象になることはありません。
第13条は、従来幸福追求権の規定と言われており、そのことに変更はありませんが、「個人として尊重される」という部分については、個人主義を助長してきた嫌いがあるので、今回「人として尊重される」と改めました。従来の「個人として尊重される」がやや意味不明な文言であり、「人の人格を尊重する」という意味で「人として尊重される」で十分と考えたところです。
第14条の法の下の平等の規定については、第1項の被差別対象の例示に「障害の有無」を付け加えました。党内議論で問題となったのは、「門地」という言葉です。四民平等などを意味する規定であり、やや古い文言であって、分かりにくいとの指摘がありました。削除するという意見もありましたが、そうすると出生による差別が他の文言では読みにくいという意見もありました。そこで、事務局が「出自」という文言を提案しましたが、やはり人口に膾炙しておらず、「門地」は教育基本法を始め各種の法律で現に用いられていることから、現行のままとすることとしました。
第3項の勲章の授与等の効果から「特権を伴わない」という規定を削除しました。文化勲章受章者に対する年金の交付は、文化功労者に対するものと読み替えて行われていることなどに鑑み、こうしたことの判断は法律の規定によるべきことと考えたところです。
第15条の公務員の選定罷免権については、第1項で「主権の存する」国民の権利と規定しました。あわせて、第3項で、公務員の選挙は「日本国籍を有する」成年者による普通選挙によるものと規定しました。言うまでもなく、外国人参政権は認めないという趣旨です。ここで、「成年者」については、憲法は何も定義していないことを指摘しておきます。憲法改正手続法附則で、将来成年を18歳とすることが規定されています。
第18条の従来「奴隷的拘束の禁止」と呼ばれていた規定は、次のように書き換えました。
(身体の拘束及び苦役からの自由)
第18条 何人も、その意に反すると否とにかかわらず、社会的又は経済的関係において身体を拘束されない。
現行憲法は、「何人も、いかなる奴隷的拘束を受けない。」というものです。現在日本で、ほとんどそのようなひどいことが行われているとは考えにくいことから、全文を書き換えました。「社会的関係」とはオカルト宗教団体のようなことを、「経済的関係」とは身売りのようなことを想起しています。こういう不合理な身体拘束は、本人の同意があっても認められません。
第19条の思想及び良心の自由については、次のように書き換えました。
(思想及び良心の自由)
第19条 思想及び良心の自由は、保障する。
基本は変えていませんが、現行憲法の「これを侵してはならない」のような表現は改め、単に「保障する」という表現を用いることとしました。
第19条の2に個人情報の保護の規定を新設しました。
(個人情報の不当取得の禁止等)
第19条の2 何人も、個人に関する情報を不当に取得し、保有し、又は利用してはならない。
平成17年の憲法草案では、この規定の保護を受ける者を主語にした規定を置いていましたが、主客を逆にした規定の方が分かりやすいことから、こういう規定としました。なお、個人情報の保護は、不当なものを禁止したのに過ぎず、適切かつ有効な情報の利用は、禁止されるべきではないことを付け加えておきます。
第20条の信教の自由は、戦前の国家神道の反省の下現行憲法がやや過剰な規定となっていたので、次のように書き替えました。
(信教の自由)
第20条 信教の自由は、保障する。国は、いかなる宗教団体に対しても、特権を与えてはならない。
2 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
3 国及び地方自治体その他の公共団体は、特定の宗教のための教育その他の宗教的活動をしてはならない。ただし、社会的儀礼又は習俗的行為の範囲を超えないものについては、この限りでない。
第1項で、宗教団体は「政治上の権力を行使してはならない」という部分を削除しました。宗教団体が政治上の権力を行使することは、現実にあり得ないと考えたからです。もちろん、世の中何があるか分からないのですが、「国は、いかなる宗教団体に対しても、特権を与えてはならない。」という規定により、政教分離は十分実現できると考えたところです。
また、第3項において、「宗教教育の禁止」については、従来特定の宗教の教育をいうものであり、一般教養としての宗教教育を含むものではないという解釈が通説でしたが、それを分かりやすくするため、「特定の宗教のための教育」と規定しました。さらに、後段を加え、最高裁判例を参考とし、「社会的儀礼又は習俗的行為の範囲を超えないもの」については、宗教行為の禁止対象からはずすことにしました。これにより、地鎮祭の玉串料などの問題が現実に解決されます。靖国神社参拝も、明文の規定をもって、禁止されないことになります。
第21条の表現の自由は、第2項を付け加え、次のように規定しました。
(表現の自由)
第21条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、保障する。
2 前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない。
3 検閲は、してはならない。通信の秘密は、侵してはならない。
第2項は、オウム真理教に対して破壊活動防止法が適用できなかったことの反省などを下に、公益や公の秩序を乱す活動に対しては、表現の自由や結社を認めないこととしたものです。内心の自由はどこまで行っても自由ですが、それを社会的に表現する段階になれば、一定の制限を受けるのは、当然と考えたところです。なお、「公益や公の秩序を害する」と規定し、単に「公益や公の秩序に反する」活動を規制したものではないことには、注意してください。
第21条に、国の行政上の行為に関する説明責任を規定しました。いわゆるアカウンタビリティと呼ばれるものです。この規定は、平成17年の憲法草案の中に既に規定されていました。
第24条の家族、婚姻等に関する基本原則の中で、第1項に家族の規定を新設し、「家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として、尊重される。家族は、互いに助け合わなければならない。」と規定しました。前段は、世界人権宣言第16条第3項の規定を翻案したものです。後段は、今回の党内議論の中で、追加したものです。「親子の扶養義務について、明文の規定を置くべきだ。」という意見もありましたが、そうした点は、基本的に法律事項であり、憲法上はこのような規定に落ち着いたところです。
第3項については、法律事項の例示を、現行民法を参考にして、整理し直しました。現行憲法は、後段で「法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。」と規定していますが、個人主義的なことだけでなく、「家族の共助の精神」のような観点も加える必要があるのではないかという意見がありました。しかし、第1項に家族の規定を新設したことから、二重になるという意見があり、その部分については現行のままとしました。
第25条の2から第25条の4まで、新たな人権の規定を次のように加えました。
(環境保全の責務)
第25条の2 国は、国民と協力して、国民が良好な環境を享受することができるようにその保全に努めなければならない。
(在外国民の保護)
第25条の3 国は、国外において緊急事態が生じたときは、在外国民の保護に努めなければならない。
(犯罪被害者等への配慮)
第25条の4 国は、犯罪被害者及びその家族の人権及び処遇に配慮しなければならない。
第25の2及び第25条の4の規定は、平成17年の憲法草案の中にあり、多少の書き換えを行ったものです。第25条の3については、今回の党内議論の中で、新設したものです。
いずれも、国を主語とした人権規定としています。初期の人権は、まだ個人の法律上の権利として主張するには熟度がなく、まず国の側の義務として規定することとしたものです。今後、具体的な法制上、人権として積み上げていく必要があります。
第26条の教育に関する権利及び義務の規定については、第3項に国の教育環境の整備義務の規定を新設し、「国は、教育が国の未来を切り拓(ひら)く上で欠くことのできないものであることに鑑み、教育環境の整備に努めなければならない。」と規定しました。この規定も、国民が充実した教育を受けられることを権利と考え、そのことを国の義務として規定したものです。
第28条の勤労者の団結権等については、第2項に公務員に関する労働基本権の制限の規定を新設し、「公務員については、全体の奉仕者であることに鑑み、法律の定めるところにより、前項に規定する権利の全部又は一部を制限することができる。この場合においては、公務員の勤労条件を改善するため、必要な措置が講じられなければならない。」と規定しました。
現在、国会において、公務員に労働協約締結権を付与することが議論されていますが、現行憲法下においても、国家公務員の労働条件に関する人事院勧告などの代償措置の実施を条件として、公務員の労働基本権は制限されていることから、そのことについて明文の規定を置いたものです。よく国際労働機関条約に違反するのではないかとの質問を受けますが、団結権及び団体交渉権条約(ILO98,1949)第6条に「この条約は、公務員の地位を取り扱うものではなく、また、その権利又は分限に影響を及ぼすものと解してはならない。」と、規定されているところです。
第29条の財産権については、第2項の後段に知的財産権の規定を新設し、「知的財産権については、国民の知的創造力の向上に資するように配慮しなければならない。」と規定し、特許権等の知的財産権の保護が過剰になり、経済活動の過度の妨げにならないよう配慮することとしました。
第31条から第40条までの刑事手続については、現行の刑事訴訟法などを参考として、文言の整理をしましたが、規定の内容については変更していません。
国民の人権及び義務の章全体を通じて、「権利ばかりの規定が目立ち、義務の規定が余りに少ないのではないか。」という指摘がありました。しかし、憲法上新たな義務規定を創出するのは、なかなか困難であり、現行のままとしています。
※本稿は、筆者の私見に基づくものであり、自由民主党の公式見解ではないことをお断りしておきます。
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昨年の通常国会までの質問は、「国会質問(既掲)」のページに移しました。
4月24日(火)、総務委員会で、郵政見直し法案の審議があり、郵貯、簡保の金融二社の株式売却の考え方、金融ユニバーサルサービスの確保の方法等について法案提出者の赤沢亮正衆議院議員に対して、ワンストップ化、コンビニ化等の郵便局の活性化方策等について日本郵政齋藤次郎社長及び川端達夫総務大臣に対して質問しました。【←国会質問中継ビデオ】ビデオDirect
4月18日(水)、予算委員会で、北朝鮮ミサイル発射事件に対する情報伝達などの政府の対応の不適切さについて、野田佳彦内閣総理大臣、藤村修内閣官房長官及び田中直紀防衛大臣に対し、公職選挙法違反容疑事件について前田武志国土交通大臣に対し、質問しました。【←国会質問中継ビデオ】 ビデオDirect
4月5日(木)、本会議で、平成24年度一般会計予算案ほか2案について、自由民主党を代表して反対討論をしました。【←国会質問中継ビデオ】 ビデオDirect
4月2日(月)、予算委員会で、枝野幸男経済産業大臣が自民党の岩城光英委員に対して「帰ってもいいのか。」と暴言を発したので、委員会は25分中断しました。 止め男
3月29日(木)、総務委員会NHK予算審議で、緊急警報放送の利用促進、NHKの健康保険の労使負担の正常化及びホテル・旅館の受信料への配慮について、川端達夫総務大臣、松本正之日本放送協会会長、金田新同専務理事、大西典良同理事らに対し、質問しました。
緊急警報放送は、津波警報が出された時に、テレビを自動起動して警報を伝達するものであり、夜間就寝時などにおいて大きな効果が期待でき、利用促進が望まれます。ただし、緊急警報放送の受信機能を持ったテレビが必要であり、まだ200万台ぐらいしか出荷されていません。【←国会質問中継ビデオ】 ビデオDirect
3月23日(金)、予算委員会集中審議で、有事における原子力発電所の安全確保について野田佳彦内閣総理大臣、枝野幸男経済産業大臣及び田中直紀防衛大臣に対し、消費税の逆進性緩和措置について野田総理、安住淳財務大臣及び古川元久国務大臣に対し、消費税の使い方と景気回復について野田総理及び岡田克也副総理に対し質問しました。
マイナンバー制度について、申請に基づく任意交付のカードではフローの所得の把握はできないのではないかと質問したところ、安住財務大臣と古川国務大臣が入れ替わり立ち替わり答弁に立ちましたが、全く答弁になっておらず、しばし審議は中断しました。
また、朝の理事会で小宮山洋子厚生労働大臣が遅刻した場合は委員会を中断させると予告していたにもかかわらず、その後与党側から全く連絡がないまま、小宮山大臣が佐藤ゆかり委員の質問に無断遅刻したため、やむなく自民党委員を全員退場させました。こうした大臣の回しは、全て与党の責任です。無責任、無能力の与党の対応には、あきれました。【←国会質問中継ビデオ】 ビデオDirect
2月28日(火)、総務委員会で、国家公務員給与特例法案に関し、地方公務員給与の取扱いについて石田真敏提案者及び稲見哲男提案者に対し、政府の人事院勧告の不実施及び民主党マニフェストの国家公務員人件費2割削減との関係について川端達男総務大臣に対し、質問しました。【←国会質問中継ビデオ】 ビデオDirect
2月6日(月)、予算委員会第4次補正予算総括質疑で、大臣行方不明事件について田中直紀防衛大臣に対し、円高・デフレ対策について野田佳彦内閣総理大臣、古川元久国家戦略担当大臣、小宮山洋子厚生労働大臣及び白川方明日本銀行総裁に対し、社会保障・税一体改革について岡田克也副総理及び安住淳財務大臣に対し、国家公務員給与引下げについて野田総理及び岡田副総理に対し、質問しました。
本年度最初の本格的議論であり、淡々と進みましたが、社会保障・税一体改革における社会保障部分の空疎さを浮き彫りにできたものと考えます。【←国会質問中継ビデオ】ビデオDirect1 ビデオDirect2
12月6日(火)、予算委員会集中審議で、公職選挙法違反容疑事件、国会議員秘書給与肩代わり強要事件、拉致被害者家族に対する発言などについて山岡賢次国務大臣に対し、前沖縄防衛局長の発言について一川保夫防衛大臣に対し、これら二閣僚の任命責任について野田佳彦内閣総理大臣に対し、質問しました。
山岡大臣は、公職選挙法違反で宇都宮地方検察庁の捜査対象にされており、マルチ商法の企業ともずぶずぶの関係にあり、国家公安委員長としても、消費者担当大臣としても、全く不適格です。近く、一川防衛大臣も含め、参議院において、両大臣の問責決議案を提出する予定です。【←国会質問中継ビデオ】ビデオDirect
12月1日(木)、東日本大震災復興特別委員会で、復興特区法案に衆議院での三党協議で私が提案して参議院で可決し、衆議院で継続審査中の災害臨時交付金法案の内容を実質的に取り入れて復興特区法案を修正した経緯等について、平野達男復興担当大臣及び修正案提出者の谷公一衆議院議員に対し、質問しました。【←国会質問中継ビデオ】ビデオDirect
11月29日(火)、総務委員会で、人事院勧告非実施と労働組合の関係について川端達夫総務大臣に対し、地方公務員給与に対する財政措置の在り方について椎川忍自治財政局長に対し、政令指定都市問題について久元喜造自治行政局長に対し、質問しました。
途中、川端大臣の答弁拒否があり、7分間中断しました。私は、「委員会では、地方自治に関する大臣の見識を聞きたいのだ」と発言したところです。【←国会質問中継ビデオ】ビデオDirect
11月21日(月)、予算委員会第3次補正予算案締めくくり総括質疑で、閣僚の宮中晩餐会欠席問題、消費税の引上げ時期、地域経済対策、国家公務員給与引下げ問題、TPP交渉参加問題等について、野田佳彦内閣総理大臣、安住淳財務大臣、古川元久国家戦略担当大臣、小宮山洋子厚生労働大臣、川端達夫総務大臣、鹿野道彦農林水産大臣、玄葉光一郎外務大臣、蓮舫行政刷新担当大臣、江利川毅人事院総裁らに対し、質問しました。【←国会質問中継ビデオ】ビデオDirect
10月27日(木)、総務委員会で、人事院勧告の取扱いの在り方、自治基本条例の問題点などについて川端達夫総務大臣に対し、郵政民営化の在り方にについて自見庄三郎郵政改革担当大臣に対し、山岡賢次国家公安委員長陣営の公職選挙法違反容疑事件の捜査の進捗について法務省刑事局に対し、質問しました。【←国会質問中継ビデオ】ビデオDirect
9月28日(水)、予算委員会総括質疑で、復興増税は復興債の償還期間の通常の60年にすればする必要がないこと、円高デフレ対策のため復興債の一部を日銀が買い受けるべきであること、被災地への「使い勝手のいい交付金」は参議院で可決した被災市町村向けの災害臨時交付金法案を踏まえることなどについて、野田佳彦内閣総理大臣、安住淳財務大臣、平野達夫復興担当大臣及び白川方明日本銀行総裁に対し、質問しました。
なかなか陳謝しない藤村修官房長官、勘違いを強弁する平野復興担当大臣、疑惑だらけの山岡賢次消費者担当大臣、勉強不足の小宮山洋子厚生労働大臣、ずさんな答弁の安住財務大臣や中川雅春文部科学大臣など、早くも新内閣の心配される様子が見て取れました。【←国会質問中継ビデオ】ビデオDirect
参議院のホームページでは、国会質問の中継ビデオが公開されていますので、左の「国会質問中継ビデオ」ボタンのページから是非御覧ください。【←国会質問中継ビデオ】マークの質問のビデオが掲載されています。ビデオDirectからも直接御覧できます。過去の質問は、「国会質問(既掲)」に掲げています。
○中継ビデオの見方

昨年10月までの新着情報は、「新着情報(既掲)」のページに移しました。
5月3日(木)憲法記念日、産経新聞朝刊に、「改憲案3党の議員に聞く」で 「草案は日本らしさ前面」を見出しとする私のインタビュー記事が掲載されました。みんなの党からは江口克彦最高顧問が、たちあがれ日本からは片山虎之助参議院幹事長が取材に応じました。
4月27日(金)、自由民主党は、翌日のサンフランシスコ平和条約発効60周年(主権回復記念日)を前に、「日本国憲法改正草案」を谷垣禎一総裁から記者発表しました。あわせて、詳細な説明を、保利耕輔憲法改正推進本部長、中谷元同本部事務局長及び私、礒崎陽輔同本部起草委員会事務局長から行いました。
4月18日(水)、自由民主党は、みんなの党及び新党改革と共に、田中直紀防衛大臣及び前田武志国土交通大臣に対する問責決議案を提出しました。
4月3日(火)、沖縄タイムス朝刊の「新沖縄2法成立 復帰40年の船出」のコラムに、「政治主導 強気の交渉術」と題する記事が掲載されました。
3月21日(水)、沖縄関係2法については、与野党PTで、政府提案2法案を全面的に修正することで決着しました。沖縄振興特別措置法案については、沖縄県に対する国の非公共事業に係る一括交付金は基金に積み立てることができるようにするとともに、新たな公共交通機関の整備の検討において「鉄軌道」を明示しました。米軍跡地利用推進法案については、地主の皆さんに対する賃料相当額の支払を使用収益が可能となるまで延長するとともに、法律の題名を野党が参議院に提出した法案と同じに改めることとしました。
沖縄振興特別措置法案(修正経緯) 米軍跡地利用推進法案(修正経緯)
3月20日(火)、大分合同新聞朝刊の「おおいた永田町」のコラムに、私の自民党憲法起草委員会事務局長としての活動について、「日本らしい憲法へ 党内の知識を結集」と題する記事が掲載されました。
3月16日(金)、自民党は、総務会で、郵政問題に関する議論を約1時間半にわたって行い、私が起草した「郵政改革法案への対応の考え方」を一部修正の上、決定しました。これで、公明党との間で、法案の協議が始まります。
3月12日(月)、超人大陸に、「日銀に詰め寄りようやく量的緩和 景気回復なくして 消費税議論はありえない!!」と題する私の動画か掲載されました。
2月8日(水)、大分合同新聞朝刊の「おおいた永田町」のコラムに2月6日(月)の予算委員会総括質疑での質問について「消費税増税よりまず景気対策を」と題する記事が掲載されました。
2月3日(金)、議員会館で、川口順子自民党沖縄振興特別委員長、島尻安伊子同事務局長らと共に、米軍跡地利用促進法案を国会へ提出する記者会見を行いました。 法案のポイント 法案の概要
2月1日(水)、大分合同新聞朝刊の「対話か対決か2012国会展望」の第8回目として、「首相問責案提出も」という見出しの私の記事が掲載されました。
※このホームページは、いそざき陽輔本人が自宅で作成しています。
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