第2章 どんな治療法があるか
V.肝臓を守薬
【1.注射薬−注射用グリチルリチン製剤−】
■肝細胞膜を強くし、肝細胞の破壊を防ぐ

静脈注射用のグリチルリチン製剤(商品名:強力ネオミノファーゲンCなど)は肝臓を保護する治療の主力として広く用いられています。
この注射薬の主成分であるグリチルリチンは、漢方の生薬として知られる甘草に多く含まれているもので、肝細胞の表面を覆う細胞膜を強くし、肝細胞が壊れないようにする作用と、肝細胞の修復を助ける作用があります。
■GOT、GPTが高いときに集中的に使われる
注射用グリチルリチン製剤の効果としては、GOT(AST)、GPT(ALT)などの改善が認められています。一般には、GOT、GPTが上昇したときに集中的に使い、GOT、GPTが落ち着いたら注射の量や頻度を減らすと言うような使い方をします。
GOT、GPTが高いときの投与量は1日40mLが基本で、週3回ないし毎日投与します。投与開始後、効果は徐々に現れますが、人によってはあまり効果が得られないこともあり、そのような場合には量や回数が増やされます。
■低カリウム血症、高血圧などの副作用が出ることがある
注射用グリチルリチン製剤は複写王の少ない薬で、つうじょうの投与では副作用が現れることはまずありませんが、長期間にわたって使い続けたり、大量に投与したりすると、低カリウム血症、高血圧、むくみなどをきたすことがあります。このうち、特に問題となるのは、低カリウム血症と高血圧です。血液中のカリウムが減り、筋肉がはったような感じや脱力感、手足の麻痺が現れる一方、血圧が高くなりますが、コレラの症状はカリウム製剤の内服で改善する事ができます。
■グリチルリチンや甘草を含む漢方薬との併用に注意しよう
注射用グリチルリチン製剤を投与されているときは、グリチルリチンを含む他の薬や、甘草を含有する漢方薬の併用に対して注意が必要です。これらの薬を併用すると、グリチルリチンの大量投与となって、副作用の危険が高くなります。グリチルリチンを含む薬としては、肝炎の治療に用いられる内服用グリチルリチン製剤(商品名:グリチロン錠など)があります。また、甘草は、小柴胡湯をはじめ、芍薬天草湯、人参湯、桔梗湯など、様々な漢方薬に含まれています。
利尿薬も、種類によっては血液中のカリウム値が低下するので、注意が必要です。ほかの病気で薬を処方されたときは、医師や薬剤師に注射用グリチルリチン製剤の投与を受けていることを必ず告げてください。
【2.内服薬】
■通院の手間が省ける内服薬の利点は大きい
現在、C型慢性肝炎に用いられている内服薬は、注射用グリチルリチン製剤と同様、肝細胞の破壊を防ぐ働きをもつものです。肝臓を保護する治療の場合、長く治療を続けてゆくことになるので、通院の手間が大幅に省ける内服薬の利点は大きいといえます。
広く用いられている内服薬としては、小柴胡湯、ウルソデスオキシコース酸製剤などがあります。
@小柴胡湯
■肝細胞膜を強くし、肝臓の炎症を抑える
小柴胡湯は、柴胡、半夏、生姜、黄ごん、大そう、人参、甘草の7種類の生薬からなる漢方製剤で、1日に2〜3回服用します。
柴胡や人参に含まれる成分には、肝細胞膜を強化する作用と炎症を抑える作用があり、甘草には、注射用グリチルリチン製剤の主成分であるグリチルリチンが含まれています。このため、小柴胡湯を服用する事により、肝細胞が破壊されるのを防ぐことができます。
■肝臓の繊維化を抑える
小柴胡湯には、肝臓を守だけでなく、肝臓で繊維が作られるのを抑える効果もあるといわれ、その指標となるP-V-PやW型コラーゲン・7Sの値の低下が認められています。また、長期に小柴胡湯を服用した患者さんのグループでは、服用しないグループに比べ、肝癌発生率が低かったとの報告があります。
■から咳、運動時の息切れ、発熱などの症状が出たらまず内服を中止しすぐに受診を
小柴胡湯の複写王のひとつとして、間質性肺炎が報告されています。小柴胡湯を服用しているとくに、から咳、運動時の息切れ、発熱などの間質性肺炎が疑われる症状が少しでも現れたら、すぐに服薬を中止し主治医の診察を受けることが大切です。早期に発見して、適切な治療を受ければ、短期間で治すことができます。
■インターフェロン療法を受けるときは中止する
小柴胡湯は服用により間質性肺炎が現れる確率はきわめて低いと考えられます。しかし、肺疾患の既往歴のある人や高齢者には副作用が出やすいといわれていますから、特に注意が必要です。
また、インターフェロン療法を受けているときに小柴胡湯を服用すると、間質性肺炎が起こりやすくなることが知られています。インターフェロン療法を受ける予定であれば、治療開始前に小柴胡湯の服用を中止する必要があります。
■肝硬変や肝癌のある人は服用してはいけない
肝硬変や肝癌に進展した場合にも、間質性肺炎が起こりやすくなるのではないかとかんがえられていますので、肝硬変や肝癌のある人は小柴胡湯を飲んではいけません。
■グリチルリチンや甘草を含む漢方薬との併用は慎重に
注射用グリチルリチン製剤の項で述べたように、グリチルリチン製剤や甘草を含む他の漢方薬と小柴胡湯とを併用すると、グリチルリチンの量が多くなり、低カリウム血症や高血圧などの副作用が起こりやすくなることが考えられます。小柴胡湯を福与宇宙に他の薬をのむときには、この点に注意してください。
Aウルソデスオキシコール酸製剤
■胆汁と同じ成分の薬
古来、動物由来の利胆剤として珍重されてきた「熊胆(くまのい)」の成分であるウルソデスオキシコール酸を科学的に合成した薬がウルソデスオキシコール酸製剤(商品名:ウルソなど)です。
その作用にはさまざまなものがありますが、肝臓に対しては肝臓内の血流の促進、肝細胞の保護などの効能があります。
■胆汁による肝細胞傷害を防ぐ
ウルソデスオキシコール酸製剤が慢性可燃に効く仕組みは、この薬の成分である親水性胆汁酸(水に溶けやすい胆汁酸)が増えることにより、胆汁に含まれている細胞傷害性の疎水性胆汁酸(水に溶けにくい胆汁酸)の排泄が高まり、胆汁が肝臓にたまることによって起こる肝細胞の破壊が軽減されるためと考えられています。
■妊娠中の人は注意を
ウルソデスオキシコール酸製剤を服用すると、下痢、悪心、嘔吐などの紹介症状や、かゆみ、発疹などの皮膚症状が現れることがあります。一般に、消化器症状は整腸剤や制酸剤などの服用で軽快しますが、皮膚症状が現れた場合には中止します。また、動物実験において胎児毒性が報告されているため、妊婦には投与市内方が望ましいとされています。妊娠中の人や妊娠している可能性のある人は、主治医に必ず報告しましょう。
併用に注意する薬としては、糖尿病に使われる経口血糖降下剤があります。ウルソデスオキシコール酸製剤との相互作用で血糖を下げる働きが強まり、低血糖に陥る危険があるので、糖尿病の人は処方された服用量を必ず股ってください。
Bその他の内服薬
小柴胡湯やウルソデスオキシコール酸製剤以外にも、内服の治療薬がたくさんあります。それぞれGPT(ALT)値などの検査値や症状の改善が認められています。
| 薬品名 | 副作用 |
| 肝臓加水分解物製剤 (商品名:プロヘパールなど) |
発疹などの過敏症 |
| 内服用グリチルリチン製剤 (商品名:グリチロン錠など) |
低カリウム血症 高血圧 むくみ 尿量減少 体重増加 手足の痙攣・麻痺 注意すべき点 ●ある種の利尿薬との併用により、 低カリウム血症が起こりやすくなる ●甘草やグリチルリチンを含む薬と併用すると、 低カリウム血症が起こりやすくなる ●重度の肝硬変の人は服用してはならない |
| プロトポルフィリンアトリウム製剤 (商品名:プロルモンなど) |
発疹などの過敏症 皮膚黒化 |
| チオプロニン製剤 (商品名:チオラ) |
黄疸 発疹、皮膚のかゆみ 食欲不振・悪心 倦怠感 発熱 たんぱく尿 |
| ポリエンホスファチジルコリン製剤 (商品名:EPL |
発疹などの過敏症 |