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私は現在、1935年開院の肛門科専門医院の3代目院長をしています。今年(2005年)で医院は70年、僕の院長歴も19年になります。世界の痔の治療は大きく変わりつつあります。
1990年にドイツの教科書Proktologie(邦名:直腸肛門病学、著者Ernst Stein)を訳すお手伝いを自治医大消化器外科教授(当時)金沢暁太郎先生より仰せつかりました。肛門病の部分を訳したのですが、驚いた事にその本に「ドイツでは痔核の手術はほとんど無いよ」と書かれていたのです。慶應義塾大学、社会保険中央病院大腸肛門病センターで、外科医として手術に明け暮れていた私にとって、ドイツには痔核の手術が殆ど無い事実は衝撃的でした。調べてみると、痔核の手術率はイングランドは5.5%アメリカ(USA)は4%と先進国の数値は10%以下だったのです。それに比べ我が国日本は正確な統計は無いものの、聞き取り調査した専門病院の殆どが40%近い手術率でした。
1990年頃、学会や研究会で「痔は生活習慣病ですから、手術よりも生活指導が大事なのでは?」と発言しても誰の関心も引くことは出来ませんでした。「平田、おまえは外科医だろう、外科医が手術をしないでどうするんだ!」と言う先輩もいらっしゃいました。あれから15年、学会発表、テレビ、新聞、雑誌、ラジオ、あらゆる機会を捉えて、「痔は生活習慣病です」と訴え続けました。2000年を過ぎると、他の先生方の本にも「痔は生活習慣病であるが、生活指導は確立していない」と書かれるようになりました。2005年現在、「痔は生活習慣病である」事を否定する専門医はいないと思います。しかし、教科書的には「痔の生活指導」は確立していません。私は15年間かけて、延べ18万人の患者さんと一緒に「痔の生活指導」を模索してきました。
その集大成が、2005年6月に出版した、「よくわかる最新医学・新版・痔」(主婦の友社)です。その本のダイジェスト版がこのサイトです。
肛門科のサイトで日帰り手術等の手術を話題にするサイトは多く見受けます。しかし、それ以前に「いかに手術をしないか」が大事ではないでしょうか?あなたのかけがいのない体の事です、診断が確定したら、なるべくセルフケアで痔と共存する道を一緒に探しましょう。
平田肛門科医院 平田 雅彦