セルフケアについて

●セルフケアのルール

 

セルフケアって何をするんですか?

 

セルフケアは日常生活を見直すことから始めます。

セルフケアとは、「自分自身で、健康を維持するための生活環境をつくり出していくこと」です。1999年アメリカでは『メイヨー・クリニック セルフケア・ガイド』という本がベストセラーになりました。このサイトのタイトルにある「セルフケア」という健康の概念は、欧米では病気を治す手段として主流になりつつあります。
セルフケアには、大きなルールがいくつかありますのでご紹介します。

病名がきちんと診断されていること

何の病気かわからなければ、セルフケアの方法は決められません。胃潰瘍だと思っていたら胃がんだった、痔だと思っていたら直腸がんだった、ではセルフケアはできません。

痔の専門医の診断を受けてからセルフケアを始めましょう。

セルフケアの実践方法は、きちんとしたコーチが立てた計画に沿って行われること

セルフケアは、自己流の治療法ではありません。トレーニングジムにいるインストラクターのように、専門のコーチのもとに、きちんと計画を立てて行うものです。アメリカでは、コーチとして医師、看護婦、社会療法士を想定しています。

セルフケアは、楽しく長続きするものにかぎる

つらいことはイヤだし、長続きしないものです。コーチはなるべくつらくない計画立てて、つねに患者さんを励ますことに重点をおきます。
痔をセルフケアで治すには、まず、お尻に負担のかからない排泄の習慣を身につけることが第一です。そして、自分の生活習慣をチェックし、痔の原因を一つ一つとり除いてください。

便意があってからトイレへ行く

痔のケアで大切なのは、規則正しい便通の習慣をつけることです。自然に便意があって快適に排便ができれば、痔の予防になります。

便意を感じる時間は個人差があり、前日の食事のとりかたや、健康状態によっても異なりますが、大切なのは、「毎朝トイレに行くこと」ではなく、「毎朝、便意を感じること」です。そして、「便意を感じたら、がまんしないでトイレに行くことです」です。

そのためには、便意があったときにがまんしなくてもすむように、少し早起きをして朝の時間に余裕をもたせましょう。しかし無理に排便をしようとすることもかえって逆効果になりますので気をつけましょう。

トイレに長居しない

便意がないのにトイレに長く居すわっていきんでいると、肛門に大きな負担が加わります。

トイレにいる時間は、3分間以内にします。そのためには「毎朝、便意を感じること」を大切にしてください。トイレで新聞をを読むなどの長居は禁物です。

 

 

 

排便後のケアをきちんと行う

排便後には、お尻をお湯で洗い流すのがいちばんです。大便はアルカリ性で刺激が強く、細菌も多くすみついています。肛門の周辺の皮膚には、しわがたくさんあるため、トイレットペーパーでふいた程度では、なかなかきれいになりません。ていねいにふくほど、しわの中に便をすりこむことになります。

また、肛門を汚れたままにしておくと細菌が繁殖し、かゆみや炎症を起こす原因になります。
そこで、座欲をおすすめします。座欲をすることで、肛門の血行がよくなり、うっ血を防ぐこともできるのです。

慢性の下痢も便秘の原因になる

慢性の下痢になると、裂肛になりやすく、内痔核があると腫れ上がります。また、痔瘻の原因にもなることがあります。

慢性の下痢の原因は、精神的ストレスや腸内善玉であるビフィズス菌の減少などがあります。また、タバコは大腸の蠕動運動を亢進させる作用があるのでやめてください。お酒も飲みすぎると、膵液の分泌が増えて下痢を悪化させるのでひかえましょう。

同じ姿勢を長時間続けない

すわりっぱなし、立ちっぱなしという同じ姿勢を長く続けていると、足腰の筋肉が緊張して肛門がうっ血することがあります。長時間、デスクワークや車の運転をするときは、軽い運動をして足腰の血行をよくすることが大切です。

痔の手術をした人や、急に外痔核ができてはれた場合は、座るときにドーナツ型円座をすると、肛門が圧迫されません。

 

肛門の血行をよくする

入浴は、肛門周囲の血行をよくするので痔の痛みをやわらげます。下着の上から、使い捨てカイロを肛門にあてるのもよいでしょう。

ただし、肛門周囲膿瘍の人は、患部を温めると痛みや化膿が進むので禁物です。
また、痔の手術をした人が、刺激の強い成分が含まれている温泉に入ると、痛みが出ることがあるので注意が必要です。

体の冷えには要注意

体が冷えると、痔が痛みだすことがあります。また、寒いと体温を逃さないように末梢血管が収縮するので、血液の循環が悪くなり、痔が痛むことがあります。

デパートやコンピュータ室など、エアコンがきいた部屋で長時間働く人は、夏でも体が冷えやすいので体を冷やさない工夫が必要です。最近夏の冷房で体が冷えすぎて、痔になる人が増えていることから、痔は夏の病気と呼ばれるようになっています。

また、トイレは一般的に、日のあたらないところに設置されていることが多く、冬にはどうしても冷えやすくなります。寒い時期には電熱で温かくなる便座を用いたりして、トイレを暖かくするとよいでしょう。

過労やストレスをためない

肛門は、便が通過するので、便の中の無数の細菌と接触します。ところが肛門は炎症を起こしません。これは、口や膣の中が細菌の感染に強いように、肛門にも細菌を防御する局所免疫能という抵抗力があるからです。

最近の精神神経免疫学の研究によって、ストレスが人間の免疫能を低下させることがわかりました。反対に、よく笑ったり、リラックスすることで、免疫能が高まることもわかってきました。

ストレスや疲労は、痔を誘発するだけではなく健康をそこなうので、できるだけ早く解消するようにします。十分に休養と睡眠をとり、映画や観劇、読書、散歩、旅行などの趣味を楽しむことで、リラックスするようにします。

また、スポーツにも心身をリラックスさせる効果があります。体を動かすことで便秘が解消され、腹筋がきたえられて排便をしやすくなります。

痔の原因になるスポーツもある

痔主の人には、あまりおすすめできないスポーツがあります。それは、瞬間的におなかに力を入れ、肛門を締めつける運動です。

たとえば、ゴルフでクラブを振ってボールを打つ瞬間には、お尻にギュッと力が入るので肛門がうっ血します。乗馬サイクリングなども、鞍やサドルをまたいで両足で体の上下の運動を支えるためにお尻に力が入り、肛門を締めつけるので、痔の人には注意や工夫が必要です。ゴルフをする人は、次の項目を守ってゴルフに臨むとよいでしょう。

  • 1ゴルフをする前日はよく眠る。
  • 2当日は、早めに起きて、ゆとりをもって自宅で排便する、等。

また、野球サッカーでは、キャッチャーやゴールキーパーがしゃがんだり、体を低くしてかまえるときにお尻に大きな負担がかかります。

その他にも体を冷やすスポーツも、お尻がので痔にはよくありません。暖かくし、冷えやうっ血を防ぐ工夫が必要です。

アルコール、香辛料はひかえめに

とうがらし、こしょう、わさびなどの香辛料には充血を促す刺激成分がふくまれています。また、香辛料のなかでも吸収されにくいとうがらしをとりすぎると、便の中に成分が残り、肛門を刺激して、痔の原因になったり、痔を悪化させることがあります。また、アルコールは、アルコールそのものが炎症を引き起こす成分なので、痔を誘発したり、悪化させる働きがあります。

また、アルコールには末梢血管を拡張する作用があるため、動脈の血流はよくなりますが、静脈の血流が追いつかず、血液がとどこおってうっ血する原因になることがあります。これが痔核を発生させたり、すでに痔核があると、うっ血によってさらに大きくなることがあります。とくに痔の人は、飲酒をひかえましょう。

無理なダイエットは痔をまねく

女性に多い便秘の原因に、間違ったダイエットがあります。
やせるために、いちばん手っとり早い方法は食べる量を減らすことだと考えて、朝食を抜いたり、生野菜のサラダだけですませる人がいます。

このような少食を続けると便の量が少なくなるので、便秘になりやすくなります。野菜サラダというと、なんとなく食物繊維が多そうに思えますが、ほとんどは水分で、サラダをおなかいっぱい食べても、食物繊維は3〜4g程度しかとれません。1日に必要な食物繊維の6分の1程度です。栄養のバランスや食物繊維の量を無視したダイエットは、便秘の大きな原因になります。理想的なダイエットは、栄養にならないで、かつ、便の量を増やす食べ物、すなわち食物繊維をたくさんとるダイエットです。食物繊維がたくさんとれるメニューは痔の専門書などに載っていますので興味をもたれたら調べてみてください。

食べないダイエットは、便秘をまねきます。便秘になると肌荒れなど美容と健康をそこなうだけで、いいことはありません。

妊娠中、出産後の痔のケアは大切に

妊娠と出産を経験すると、痔になったり、痔を悪化させることが多くなります。妊娠してだんだん胎児が成長してくると、子宮が大きくなって骨盤の中に下がり血管を圧迫するので、肛門の動静脈叢がうっ血して炎症を起こし内痔核ができます。

妊娠するとホルモンのバランスが変わり、運動不足になりがちなので、便秘になりやすくなります。また、妊娠後期では、大きくなった子宮が直腸を圧迫するので便秘になります。妊娠中の便秘対策は、まず、食物繊維の多い食べ物をとることから始めてください。それによって、妊娠中の肥満も防ぐことができます。それでも便秘が解消しないときには、主治医とよく相談して下剤や軟便剤を用いて、慎重に便通をととのえるようにします。

痔があるときには、患部に消炎の軟膏を塗って炎症を予防します。また、まめに入浴をして血行をよくすることも大事です。分娩時にいきんで痔が悪化することもあるので、痔が心配な人はあらかじめ担当医に話しておくとよいでしょう。痔の程度によっては、分娩しやすいように会陰切開をする場合もあります。

出産後は、赤ちゃんの世話による疲れやストレスで痔が悪化したり便秘しやすくなります。
また、母乳育児では、体内の水分が母乳に吸収されるため、便がかたくなりやすくなります。
授乳中は、水分の補給と食物繊維の豊富な食事をたっぷりととることを心がけてください。

生理前、生理中のケア

生理前や生理中には、肛門は炎症を起こしやすくなるために、症状が悪化する患者さんを多く見受けます。理由は色々推測されていますが、正確な理由はまだわかっていません。

生理が近づいたら、食生活に注意して、便秘や下痢にならないようにします。また、生理中は肛門粘膜が炎症を起こしやすいことを十分考慮して、疲れることや飲酒はひかえましょう。

 

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